手数料を理解して賢く投資!新NISAのための投資信託ガイド

闘志信託を解説 投資信託・国内ETF投資
こころん
こころん

投資信託はプロが代わりに運用して、利益を分配してくれる投資商品やな。

あふろん
あふろん

株式じゃなくて投資信託を買うメリットって何なんだろうね。

2023年1月の時点で投資信託は5,888本も存在し、資産規模や運用成績、信託報酬率など、どの商品を選ぶかで、未来の資産が大きく変わってきます。

この中で本当に評価されているのは、せいぜい数十本くらい。

これだけハズレくじがある中で、未来の資産を左右する投資信託を適当に選ぶわけにはいきません。

この記事で伝えたいこと
  • 投資信託のしくみ
  • 投資信託の手数料と隠れコスト
  • 購入すべき投資信託

この記事は、投資信託のしくみや手数料といった基本的な知識、全世界株式(オルカン)全米株式(S&P500)という具体的な商品の情報をまとめます。

投資信託によるインデックス投資を検討されている方や、どの投資信託を購入しようか迷っている方の参考になれば嬉しいです。

投資信託のしくみ

投資信託とは、集めた資金をプロの投資家が様々な資産(株式や債券、不動産など)へ分散投資・運用している商品です。

販売会社は投資信託を販売し、運用会社は運用を指図し、信託銀行(受託会社)は指図を元に投資をして資金を管理するのが、投資信託のざっくりとしたしくみ。

引用:楽天証券 – 契約型投資信託の仕組み

また、株式はリアルタイムで更新される値動き(株価)で売買しますが、投資信託は1日1回だけ更新される基準価格で売買することになります。

投資信託のメリット
  • 分散投資の効果
  • プロの機関投資家による運用
  • 購入は100円以上1円単位
  • 自動積立設定
  • 新NISAの活用

個別企業へ投資する株式に対して、投資信託は1つの商品を買うだけで、複数の銘柄に分散できるというのが大きなメリットです。

ポートフォリオ全体のメンテナンスはプロの投資家がしてくれるし、購入した後の運用の手間もかかりません。

多くの投資信託は100円以上1円単位で購入できるので、毎月・毎週など定額で買い続けるドルコスト平均法が使えるのもメリットのひとつです。

個別株だと株価が低い銘柄でも数千円以上の単位となり、積立金額を定額にすることはできません。

また、投資信託の場合は多くの証券会社では自動積立設定ができ、新NISAでは約2,000銘柄もの商品が対象となっています。

老後の資産形成のためにリスクを抑えたインデックス投資を目的にされている方であれば、投資信託を活用したドルコスト平均法の自動積立が王道のスタイルです。

投資信託の手数料と隠れコスト

投資信託の運用会社は一般的に投資家からの手数料で収益を得てることで成り立っています。

投資信託の手数料
  • 販売手数料
  • 換金手数料(信託財産保留額)
  • 運用管理費用(信託報酬)
  • その他の費用・手数料

販売手数料

販売手数料は、購入時に販売会社へ支払う手数料ですが、SBI証券や楽天証券なら全ての投資信託が無料(ノーロード)になっています。

わざわざ販売手数料のかかる店舗型の証券会社で購入する意味はありません。

換金手数料

換金手数料(信託財産保留額)は、売却時に販売会社に支払う手数料で、商品ごとに設定されています。

これも大手ネット証券のインデックス型投資信託であれば手数料はかからないので、各証券会社の商品情報ページで確認しましょう。

運用管理費用(信託報酬)

運用管理費用(信託報酬)は、保有中に販売会社運用会社信託銀行の3社に支払う手数料です。

信託報酬率(年率)が商品ごとに設定されていますが、信託財産(運用中の投資信託)から差し引かれているので、投資家が直接支払う必要はありません。

例えば、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬率は年率0.0575%ですが、高いものであれば年率2〜3%を超える商品もあります。

信託報酬率3%の投資信託へ100万円投資すると、毎年3万円の運用管理費用がかかるということ。

投資信託を保有し続ける限りずーっと支払い続ける手数料なので、投資で負けないためには、信託報酬率が低い商品を選ぶことが非常な重要なポイントです。

その他の費用・手数料

ファンドの監査費用や有価証券等の売買手数料・保管費用、その他信託事務の処理にかかる諸費用等。

これらは運用中の条件によって変動するため、あらかじめ手数料の金額が開示されておりません。

これが、投資信託の隠れコストですね。

隠れコストは定期的に公開される運用報告書を見れば、実際にどれくらいの手数料がかかったのか知ることができます。

画像のように、運用報告書の費用合計0.170%と信託報酬率0.1144%の差から、隠れコストが0.0556%であることが分かります。

隠れコスト
引用:三菱UFJ国際投信 – eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の運用報告書

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを目指す」という最強のコンセプト!

三菱UFJ国際投信が運用するeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、日本を含む先進国・新興国など全世界へ分散投資できる投資信託です。

商品名称:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
運用会社:三菱UFJ国際投信
設定日付:2018年10月31日
資産総額:2兆413億円
投資対象:先進国23ヵ国・新興国24ヵ国
組入銘柄:約2,900銘柄
分配金率:再投資
信託報酬:0.05775%

※2024年1月時点

全世界株式の類似商品

全世界へ投資する類似商品も多く、米国ETFの全世界株式VTを投資対象とする楽天・VTやSBI・V・全世界株式などもあります。

略称種別運用会社
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)投資信託三菱UFJ国際投信
楽天・オールカントリー投資信託楽天投信投資顧問
楽天VT投資信託楽天投信投資顧問
SBI・V・全世界株式投資信託SBIアセットマネジメント
雪だるま(全世界株式)投資信託SBIアセットマネジメント
Funds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー)投資信託野村アセットマネジメント
VT米国ETFバンガード

バンガードが運用する米国ETFのVTは有名ですが、日本の投資信託には、その「VT」を投資対象とした楽天・VTSBI・V・全世界株式などもあります。

また、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)に対抗する形で、2024年の新NISAに合わせて信託報酬率の低い楽天・オールカントリーFunds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー)も登場しています。

信託報酬率・経費率

略称信託報酬率
楽天・オールカントリー0.0561%
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)0.05775%
Funds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー)0.05775%
VT0.07%
雪だるま(全世界株式)0.1102%
SBI・V・全世界株式0.1338%
楽天VT0.192%
※2024年1月時点

2023年7月10日に野村アセットマネジメント投信が信託報酬率0.05775%のはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)を出したら、9月8日にはeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)信託報酬率0.1133%から0.05775%に引き下げました。

この引き下げに「業界最低水準のを目指す」ことへの信念を感じました✨

2023年に登場した楽天・オールカントリーは、さらに低い0.0561%となっています。

まだ新しい投信信託なので隠れコストがどの程度かも含め、トータルで判断したいところですが、こういった信託報酬率の競い合いは、いち投資家として嬉しい限りです。

資産総額と設定日付

略称資産総額設定日付
VT3,700億ドル2008年6月24日
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)2兆413億円2018年10月31日
楽天VT3,998億円2017年9月29日
雪だるま(全世界株式)1,391億円2017年12月6日
楽天・オールカントリー394億円2023年10月27日
SBI・V・全世界株式345億円2022年1月31日
Funds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー)22.9億円2023年7月10日
※2024年1月時点

さすがに世界三大運用会社のバンガードが運用するVTは、資産総額が飛びぬけてますね。笑

国内の投資信託ではeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)が圧倒的です。

2023年に新しく登場した楽天・オールカントリーFunds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー)が、これからどれくらい大きくなっていくか。

対象インデックス・運用方針

略称構成銘柄対象インデックス
VT約9,500銘柄FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
楽天VT約9,500銘柄FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)
SBI・V・全世界株式約9,500銘柄FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)
雪だるま(全世界株式)約9,500銘柄FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)約2,900銘柄MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス
楽天・オールカントリー約2,900銘柄MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス
Funds-i Basic 全世界株式(オール・カントリー)約2,900銘柄MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス
※2024年1月時点

いずれも全世界株式に投資できる商品ですが、対象インデックス(ポートフォリオの構成銘柄や比率)が少しずつ違っています。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)のようにMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)に連動するような投資成果を目指している商品と、米国ETFの「VT」を投資対象とした商品があるのがポイント。

楽天VTはメインはVTでありながらVTIVXUSといった米国ETFもポートフォリオに含まれているなど、投資信託によって多少味付けは異なっていたりします。

MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)とは、先進国23カ国及び新興国23カ国に上場する大・中型株の約2,900銘柄で構成されており、グローバルの株式市場の約85%をカバーしています。

対して、米国ETFのVTが対象としているFTSEグローバル・オールキャップインデックスは、先進国や新興国市場を含む約47ヵ国の約9,500銘柄で構成されており、グローバルの株式市場の98%以上をカバーしているそうです。

eMAXIS Slim 全米株式(S&P500)

世界一の経済大国であるアメリカのインデックスS&P500に投資するのがeMAXIS Slim 全米株式(S&P500)です。

あのウォーレン・バフェットが妻への遺言として、「遺産の90%をS&P500に投資するように」と指示しているのは有名ですね。

商品名称:eMAXIS Slim 全米株式(S&P500)
運用会社:三菱UFJ国際投信
設定日付:2018年10月31日
資産総額:3兆6,079億円
投資対象:S&P500の構成銘柄
組入銘柄:約500銘柄
分配金率:再投資
信託報酬:0.09372%

※2024年2月時点

S&P500の類似商品

いずれもS&P500指数に連動を目指している投資信託ですが、SBI・V・S&P500はS&P500指数に連動を目指して運用している米国ETFのVOOに投資をしている投資信託です。

略称種別運用会社
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)投資信託三菱UFJ国際投信
楽天・S&P500投資信託楽天投信投資顧問
SBI・V・S&P500投資信託SBIアセットマネジメント
Funds-i Basic 米国株式(S&P500)投資信託野村アセットマネジメント
VOO米国ETFバンガード
IVV米国ETFブラックロック
SPY米国ETFステート・ストリート

全世界株式と同様に、三菱UFJ国際投信以外だと楽天投信投資顧問やSBIアセットマネジメント、野村アセットマネジメントがS&P500の投資信託を提供しています。

また、世界一の運用資産残高を持つブラックロック社が運用する米国ETFのSPYは、1993年1月にアメリカではじめて上場した投資信託(ETF)です。

歴史を感じますね~。

信託報酬率・経費率

略称信託報酬率
VOO0.03%
IVV0.03%
楽天・S&P5000.077%
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)0.09372%
Funds-i Basic 米国株式(S&P500)0.09372%
SBI・V・S&P5000.0938%
SPY0.0945%
※2024年2月時点

特にVOOIVVの0.03%が際立っていますが、米国ETFの場合は購入時に、証券会社ごとに設定されている購入手数料や為替手数料が掛かるので注意。

国内の投資信託は拮抗していますね。

同じS&P500の指数に連動する投資信託であれば、手数料(信託報酬率)が低い方を選びたいところですが、隠れコストの存在があるので、どれが最低手数料なのかは運用してみないと分からないくらい拮抗しています。

信託報酬率0.1%以下であれば、いずれも誤差の範囲でしょう。

資産総額と設定日付

略称資産総額設定日付
SPY4,869億ドル1993年1月22日
IVV4,354億ドル2000年5月19日
VOO4,057億ドル2010年9月9日
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)3兆6,079億円2018年7月3日
SBI・V・S&P5001兆3,966億円2019年9月26日
楽天・S&P500786億円2023年10月27日
Funds-i Basic 米国株式(S&P500)30.1億円2024年2月9日
※2024年2月時点

米国ETFのSPYは世界最大の資産総額と言われている商品、アメリカ初の上場投資信託ながらトップをキープし続けているのは凄いですね。

国内投資信託ならやっぱりeMAXIS Slim米国株式(S&P500)が抜きん出てます。

新NISAのスタートに合わせて楽天・S&P500Funds-i Basic米国株式(S&P500)も登場したり、各社が競い合ってくれると手数料の引き下げに繋がるので嬉しい限りです。

対象インデックス・運用方針

略称構成銘柄数対象インデックス
SPY約500銘柄S&P500インデックス
IVV約500銘柄S&P500インデックス
VOO約500銘柄S&P500インデックス
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)約500銘柄S&P500インデックス(円換算ベース)
SBI・V・S&P500約500銘柄S&P500インデックス(円換算ベース)
楽天・S&P500約500銘柄S&P500インデックス(円換算ベース)
Funds-i Basic 米国株式(S&P500)約500銘柄S&P500インデックス(円換算ベース)
※2024年2月時点

どの商品もS&P500に連動する投資成果を目指しているため、構成銘柄数はいずれも約500銘柄です。

S&P500インデックスは、米国株式市場に上場もしくは登録されている代表的な500銘柄を時価総額で加重平均して指数化されたもの。

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが1日1回、数値を公表しています。

加重平均なので時価総額が大きなGAFAMやNVIDIA、Tesraなどは構成比率が大きくなっており、この7社で25%以上は占めています。

まとめ

この記事では、投資信託のしくみや手数料といった基本的な知識、購入すべき具体的な銘柄を2つ紹介しました。

この記事で伝えたいこと
  • 投資信託のしくみ
  • 投資信託の手数料と隠れコスト
  • 購入すべき投資信託

先に述べたように、運用管理費用(信託報酬)の低い投資信託を選ぶことが絶対条件。

近年は信託報酬率0.1%以下の商品も増えてきました。

そして、政府が推しているNISAは、運用益が非課税になるお得な制度なので、ぜひ活用したい。

投資信託のメリットである分散効果ドルコスト平均法を使って、安定して成長してくれるインデックス型の商品を選ぶことが最適解。

投資信託の選び方
  • 信託報酬率0.1%以下
  • 新NISAつみたて投資枠の対象
  • 全世界株式or全米株式

具体的には先進国を中心に全世界へ投資するeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と、全米に分散投資できるeMAXIS Slim 全米株式(S&P500)の2つは、数ある投資信託の中でも圧倒的に優秀な商品です。

これから株式投資や投資信託を始める方は、2023年から取引手数料を完全無料化したSBI証券か楽天証券の口座は持っておきましょう。

証券会社によって投資信託の取り扱い銘柄に違いはありますが、この記事で紹介したeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)eMAXIS Slim全米株式(S&P500)は売買可能で、販売手数料も換金手数料(信託財産保留額)も0円です。

先述のような優秀な投資信託へ、NISA口座を活用して、毎月定額(ドルコスト平均法)でコツコツとを積み立てていくのは、老後の資産形成においての最善策。

誰でも簡単に投資の分散効果が得られ、プロの運用で資産を増やしてくれる投資信託は、今後の人生においても必ず役に立つ投資の知識・選択肢だと思います✨